大腿部・下腿部打撲 の症状と治療法
下腿部(すねやふくらはぎ)や大腿部(太もも)の打撲は、スポーツや日常生活でよく見られる外傷の一つです。
適切な応急処置や治療を行うことで、早期回復を促し、後遺症を防ぐことができます。
1. 打撲の原因
① スポーツによる衝撃
- サッカー、バスケットボール、ラグビーなどのコンタクトスポーツでは、相手選手との衝突やボールが当たることで打撲が起こります
- 短距離走や跳躍競技では、転倒時に地面と強く接触することが原因となることもあります
② 転倒や事故
- 階段を踏み外す、物につまずくなどの日常生活での転倒
- 自転車やバイクの転倒、交通事故による外傷
③ 物理的な打撃
- 固い物にぶつかる(机や椅子の角に足をぶつける、ドアに挟む)
- 重い物を落とすことで打撲を負うこともあります
④ フォームや環境の問題
- 膝が内側に入れる動きの多用
- 扁平足や不適切なシューズによる負担増加
2. 応急処置(PEACE & LOVE)
打撲直後の対応は回復を早めるために重要です。従来は「RICE処置(安静・冷却・圧迫・挙上)」が推奨されていましたが、現在はより回復を促進する 「PEACE & LOVE」 という新しい概念が注目されています。
〈PEACE〉(急性期の対応)
P (Protection) 保護
- 受傷直後は無理に動かさず、痛みのない範囲で安静を保ちます
E (Elevation) 挙上
- 腫れを抑えるために、患部を心臓より高い位置に保ちます
A (Avoid anti-inflammatory) 抗炎症薬を避ける
- 炎症は治癒の過程で重要な役割を果たすため、必要以上のアイシングやNSAIDs(非ステロイド性抗炎症薬)の使用を控えます
C (Compression) 圧迫
- 軽く包帯やテーピングを巻いて、腫れや内出血を防ぎます(締めすぎには注意)
E (Education) 教育
- 受傷後の正しい知識を持ち、過度な安静を避け、適切なリハビリを行うことが大切です
〈LOVE〉(回復期の対応)
L (Load) 負荷をかける
- 痛みが軽減したら、少しずつ動かして筋力の低下を防ぎます
O (Optimism) 楽観的な心構え
- 心理的なストレスは回復を遅らせるため、前向きな気持ちを持つことが重要です
V (Vascularisation) 血流促進
- 軽い運動やマッサージで血流を良くし、治癒を促進します
E (Exercise) 運動
- ストレッチやリハビリ運動を行い、可動域や筋力を回復させます
3. 当院での治療法
① 微弱電流治療(マイクロカレント)
- 損傷部位の細胞レベルでの修復を促進し、痛みや炎症を軽減します
- 筋肉の緊張を和らげ、組織の回復を早める効果があります
② ラジオ波治療(高周波温熱療法)
- 深部の血流を改善し、腫れや内出血の吸収を促進します
- 筋肉や靭帯の柔軟性を向上させ、再発予防にもつながります
これらの治療を組み合わせることで、自然治癒力を高めながら、より早い回復を目指します。
4. セルフケア(自宅でできるケア)
① アイシングと温めの使い分け
- 受傷直後(48時間以内) は氷や冷却パックで冷やし、腫れを防ぎます(1回15~20分)
- 回復期(2~3日後以降) は温めて血流を促進し、筋肉のこわばりを防ぎます
② 軽いストレッチとマッサージ
- 痛みが落ち着いたら、軽くストレッチをして可動域を広げる
- 優しくマッサージを行い、内出血の吸収を促進する
③ 適度な運動
- ウォーキングやストレッチで筋肉を動かし、回復を促します
- 急に負荷をかけず、徐々に強度を上げることが大切です
まとめ
✅原因:スポーツ、転倒、衝撃
✅応急処置:「PEACE & LOVE」を実践し、適切なケアを行う
✅治療法:「微弱電流」と「ラジオ波」で早期回復をサポート
✅予防法:冷却・温熱・ストレッチ・適度な運動
打撲は放置すると筋肉の硬化や可動域制限につながることもあるため、適切な処置と治療を受けることが大切です。