膝内側・外側側副靭帯損傷 の症状と治療法
膝関節の内側側副靱帯(MCL)・外側側副靱帯(LCL)は、膝の安定性を保つ重要な靱帯です。
スポーツや転倒などで損傷しやすく、適切な処置と治療が回復のカギとなります。
1. 側副靱帯損傷の原因
〈内側側副靱帯(MCL)損傷の主な原因〉
MCLは膝の内側にあり、膝が 外側からの強い衝撃 を受けると損傷しやすいです。
- ラグビー・サッカー・柔道などで相手選手と接触
- スキーやバスケットボールで転倒時に膝が外側に押される
- 膝がねじれた状態での着地や方向転換
〈外側側副靱帯(LCL)損傷の主な原因〉
LCLは膝の外側にあり、内側からの強い衝撃 で損傷します。
- アメフト・柔道・格闘技で相手選手が膝の内側に衝突
- 転倒時に膝が内側に大きく曲がる
- 膝の捻り動作(ツイスト)による負荷
MCL損傷は比較的多いですが、LCL損傷は単独では少なく、前十字靱帯(ACL)や後十字靱帯(PCL)の損傷を伴うことが多いです。
2. 応急処置(PEACE & LOVE)
損傷直後の適切な処置が、回復を早めるポイントになります。最近のリハビリの考え方である 「PEACE & LOVE」 を実践しましょう。
〈PEACE〉(急性期の対応)
P (Protection) 保護
- 無理に動かさず、痛みのない範囲で安静を保つ
- サポーターや包帯で固定すると安定しやすい
E (Elevation) 挙上
- 腫れを抑えるために、膝を心臓より高い位置に保つ
A (Avoid anti-inflammatory) 抗炎症薬を避ける
- 炎症は治癒に必要なため、NSAIDs(イブプロフェンなど)の過度な使用は控える
C (Compression) 圧迫
- 軽く包帯を巻き、腫れや内出血を防ぐ(締めすぎに注意)
E (Education) 教育
- 早期回復のために正しい知識を持ち、過度な安静を避ける
〈LOVE〉(回復期の対応)
L (Load) 負荷をかける
- 痛みが軽減したら、少しずつ膝を動かして筋力の低下を防ぐ
O (Optimism) 楽観的な心構え
- ストレスが回復を遅らせるため、前向きな気持ちを持つことが重要
V (Vascularisation) 血流促進
- 軽い運動やマッサージで血流を良くし、治癒を促進
E (Exercise) 運動
- ストレッチやリハビリ運動を行い、可動域や筋力を回復
3. 当院での治療法
① 微弱電流治療(マイクロカレント)
- 細胞レベルで修復を促し、炎症や痛みを軽減
- 筋肉の緊張を和らげ、膝周囲の負担を減らす
② ラジオ波治療(高周波温熱療法)
- 深部の血流を改善し、腫れや痛みの回復を促進
- 筋肉や靭帯の柔軟性を向上させ、再発予防にも効果的
③ EMS(電気筋刺激)
- 膝周囲の筋肉(大腿四頭筋・ハムストリングス・内転筋・外転筋)を刺激し、筋萎縮を防ぐ
- 電気刺激により血流が促進され、靭帯の修復を助ける
- 神経を刺激し、痛みの伝達を抑制
- 靭帯損傷後の膝のぐらつきを軽減し、再発予防に貢献
EMSの使用方法
• 急性期(痛みが強い時):低周波で血流促進と鎮痛を目的に使用。
• 回復期(動けるようになったら):中〜高周波で筋収縮を促し、膝周囲の筋力強化を図る。
当院では、微弱電流・EMSを組み合わせたプログラム を提供し、個々の状態に合わせた治療を行っています。
これらの治療を組み合わせることで、自然治癒力を高め、早期回復を目指します。
4. 予防法(再発を防ぐために)
① アイシングと温熱療法の使い分け
- 受傷直後(48時間以内) は氷や冷却パックで冷やし、炎症を抑える(1回15~20分)
- 回復期(2~3日後以降) は温めて血流を促進し、硬くなった筋肉を緩める
② 軽いストレッチとマッサージ
- 痛みが落ち着いたらストレッチを開始(無理に伸ばさない)
- 内出血がひどい場合は、軽くマッサージをして血流を改善
③ 筋力トレーニング
- 太ももの前側(大腿四頭筋)と後側(ハムストリングス)をバランスよく鍛える
- 内側側副靱帯(MCL)損傷の場合 → 内転筋(内もも)を強化
- 外側側副靱帯(LCL)損傷の場合 → 外転筋(お尻・太ももの外側)を強化
④ 日常生活での注意点
- 階段を降りるときは手すりを使う
- 膝をねじる動作を避け、慎重に動く
- 長時間の座りっぱなしを避け、適度に膝を動かす
まとめ
✅原因:スポーツ時の衝撃・転倒・膝の捻り動作
✅応急処置:「PEACE & LOVE」を実践し、適切なケアを行う
✅治療法:微弱電流・ラジオ波・EMSで早期回復と筋力強化をサポート
✅予防法:冷却・温熱・ストレッチ・筋トレを適切に行う
側副靱帯損傷は、早期の適切な治療とリハビリが回復を左右します。
当院では、個々の症状に合わせた治療プランを提供し、再発予防も含めたサポートを行っています。